《川越アーツ&クラフツのこれから》

連続トークセッション第3回『作家の領域について』

講師/竹内 稔さん PROOF OF GUILD 店主

    大治 将典さん 手工業デザイナー

 

連続トークセッション第3回は、川越在住の世界的プロダクトデザイナー大治将典さんと名古屋からジュエリー作家でありながらジャンルを越えたお仕事をされている竹内稔さんをお招きしてお話をお聞きしました。
転ばぬ先の手を打ち、リスク回避を徹底し、案件ごとの基本軸を見失わない厳しい目をもつ大治さんと、ご自分が作りたいものや面白そうな仕事は、何でもやってみると言う姿勢の竹内さん。個性の違うお二人のお話しは、とても刺激的でした。

 

大治さんは、ご自分の仕事(プロダクトデザイン)は、使い手とつくり手をつなぐ仕事であり、「売れるものをつくるのが目的ではない」、地域の地場産業メーカーとブランディングも含めた製品デザインを手がけるなかで派生する、「問題は解決せず、問題を魅力にするパラダイムシフト」が必要と説きます。また、大治さんのデザインの原点は、幼少時の書道の先生にあるようです。書をどのような装丁にしたら、どのように見えるかをよく考えていらしたようです。見る人の目を意識したことから使う人の目・手を自然と意識したデザインとなっているようです

 

竹内さんは、モックアップから完成品まで、ご自分で手がけるものが多いようです。手を動かし、作っていくのが本当にお好きなのですね。メジャーになる過程では、たくさんのチャンスに恵まれていたようですが、それは竹内さんが引き寄せたものなのでしょうね。名古屋にもインキュベーション施設がある様なのですが、川越で始まろうとしている育成施設への助言は、運営を続けるなかで、レベルを保つことが大事であり、入所者の審査、レベルのコントロール、育成期間中のジャッジなど、運営のプログラムの充実が求められるというご意見でした。
また、伝統的に美しいものを生活のなかで楽しんできた日本ですが、住環境の変化によって、どのように使えば良いのか分からない世代に、使い方楽しみ方を伝える手法、気づかせ方、見えない使い手に良さを伝える伝え方の戦略が要るというお話しでした。
「やりたいことをやるには、自分で試行錯誤しながらやる以外ない」「そのうち食えると言う自信は最初からあった」と言う一言が重かったです。